ウォール街のランダム・ウォーカー〈原著第11版〉日本経済新聞社

ウォール街のランダム・ウォーカー〈原著第11版〉日本経済新聞社

 

株式投資を考えている人へ、過去のバブルの歴史や証券会社があれこれ生み出した株式の選定理由を紹介し、結局のところ米国株、あるいは世界全体の株式へのインデックス・ファンドへの投資を進めている本。

 

以下、自分がわからなかった部分についてまとめる。

インデックス・ファンドが長期的には上昇することが自明のように扱われている。

 

本書ではテクニカル戦略やファンダメンタル分析を批判し、それらでは将来の株価を予測することはできない(=株価はランダムウォーク)と繰り返し述べている。したがって、長期的には、市場平均に勝るアクティブ運用は難しく、どれだけうまくいったアクティブ運用でも、頻繁に取引する手数料分だけ損なので、結局は市場平均に連動するインデックス・ファンドに投資するべきだと主張している。

その理屈はわかった。だがインデックス・ファンドが長期的に上昇する理由、市場平均が長期的には上昇する理由についてはどこにも述べられていない。

これは大恐慌が起きても、ITバブルが崩壊しても、リーマンショックが起きても、つねに史上最高値を更新してきたアメリカ人だからこそ持っている自明の感覚なのだろうか(筆者はアメリカ人)。あるいは国策で株価は下がらないようにしているだとか、アメリカには資本主義経済に精通した経営者が集まっているからとかそのような理由を所与としているからなのだろうか。

いづれにしても、アメリカや資本主義がこれからも覇権を握り続けるという前提があるように感じられた。それ自体はむちゃくちゃ疑わしい、といった類の前提ではないが本書であらゆる株価予測手法をランダムウォークと批判してきた手前、インデックス・ファンドが長期的に上昇する理由を書いたら、それもランダムウォークじゃないかと反論されることを心配したのだろうか。

 

テクニカル分析批判について

 

本書p.143から引用

 この手の手法は、結局のところ、自己矛盾に陥るものだということである。いかなら手法にせよ、同じ手法を用いる人々の数が多くなればなるほど、その有効性は低くなっていく。もし、皆が同じシグナルに対して同じ行動をとるとしたら、どんなシグナルに基づいて売買したところで何の利益も得られない。

引用終わり

 

とあり、本書ではテクニカル分析を批判している。これに反論してみたい。

現実にはすべてのプレイヤーはシグナルを知っているわけではないし、知っていてもそれ通りに行動するとは限らない。

具体的には、初心者の個人投資家、実需プレイヤー、政治的な考えで動いでいる政府機関、オプションの発行法人などが思いついた。

 

もし、皆が同じシグナルに対して同じ行動をとるとしたら、どんなシグナルに基づいて売買したところで何の利益も得られない。

 

というのは、もしある株式のある地点でロングのサインが出たとして、そこでみんなで一斉に買えば、確かに価格は上がるが、今度はその株式を処分したいのでみんなが売り手になる。しかし、みんなが売り手になったので買い手がいない。果たして価格はもとの価格まで下がる。といったシーンだろうか。

しかしやはり、この例だったら割高になった時でも上記に挙げたようなプレイヤーが買い手になることが十分にありえるし、機関投資家でも決算やインデックス・ファンドの銘柄の切り替えのために割高の株を買うことだってありえる。

 

よって、皆が同じシグナルに対して同じ行動をとるという仮定は成り立たないのではないかと思うし、ある種の裁定機会があるという点で、シグナルは有効なこともありうると思えた。